anwyのブログ

1日1冊百合を読む人

クライマが読む「ぽちゃクライム!」一巻感想

ライミング漫画最近増えてるイメージがあります(具体的に浮かぶのはのぼる小野寺さんしかないので実情は不明・・・)。

 

ライミング経験者ですが、クライミング漫画を読むのはぽちゃクライム!が初めてです。

百合ということなので見逃せませんね。

ライミング作品ということなので、百合を知らないクライマの方たちも、百合の楽園へと招待したいですね。

 

自己紹介

ライミング歴3年くらい、RP*1は言えないくらいのレベルの人です。

周りを見てると1年で段クライマ*2とかざらにいるので辛いですね。グレード気にせずの登るのが一番です。僕は気にしすぎて今は月1クライマです。

 

ライミングをやりたくなるリアリティ

こういう作品で嬉しいのは、登場するヒロイン達の雰囲気を現実でも味わえる部分だと思います。聖地巡礼がその最たる例でしょうか。

 

2話にて、主人公つぐとヒロインのあいらはクライミングシューズを買いにいきます。いきなりデートとか言うだすあたり良い味してますねあいらちゃん。

 

ここで目白にあるカラファテというお店に行くのですが、これが実在する超有名店です。都内近郊の方なら多くの方がここで購入し、特徴的なシューズバッグを持っているかと思います。

取材協力をしてくださったということもあり、お店の外観から内観までかなり忠実に再現されています。

クライマなら一目でテンションが上がりますし、この漫画を読んでクライミング始める方にとっても聖地で胸を躍らせること間違いなし。

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カラファテでもらえるシューズバッグ

 

そして、ここで買ったシューズもおそらく現実に存在しているシューズをモチーフにしていると思われます。実はどれも確信はないのですが、紹介していきます。

 

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3年前に買ったフォース

まず主人公のつぐ。彼女が履いているのはスカルパというメーカーの「フォース」です。初心者シューズとしては定番シューズで、古いモデルではありますが今でも初心者の方が履いているイメージです。

(私も一足目はカラファテでフォースでした。今でもスカルパのシューズを好んで履いています。)

 

次にヒロインのあいらが履いているのはスポルティバのコブラ

こちらは初心者から熟練者まで幅広く履かれているイメージです。強度があるため雑に履ける印象。私が持っていないため参考画像は割愛。

 

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ハイアングル

同級生なのこがはいているのはファイブテンのハイアングル。

こちらは中級者以上向けのシューズですが、日本人のトップ選手が多く履いている印象です。まだ多く描写はされていませんが、なのこちゃんはかなりうまい設定なのかなと思います。

ただ僕も履くのであえて言うと「ハイアングル持ってる=うまい」というのはさほど成立しない気もします。

 

残りはしゅう先輩のシューズですが、残念ながらわかりませんでした。

他が有名シューズなので、調べればすぐ見つかるとは思います。

 

このように、1巻から実在するお店、シューズが出てくるなどクライミングをやりたくなる要素がもりだくさん。

好きな作品で扱う題材となればファンとしてやらないわけにはいかないですよね。けいおん!で楽器を買い、ヤマノススメに影響されて登山を始める。ぽちゃクライム!でクライミングシューズを買いましょう。

ちなみにクライミングシューズは平均として1万5千円くらいです。けいおんとかヤマノススメを先に書いたことで安く感じる不思議。

 

また作者の方のクライミング愛が強いんですよね。

つぐが登っている様子も初心者にありがちなムーブ*3を上手く描いていて。スラブのシーンも経験者じゃ無いと描けない描写だったりして。

何より女の子がクライミングしてるだけで可愛いので、良きですね。

雑な感想

つぐのように、クライミングて痩せてる人しかできないと思っている人多くいると思うのですよね。

現実には痩せてる人や鍛えてますみたいな人も、初心者だと大差なく登れない印象です。

逆にクライミングができる人で、ぽっちゃりしてる人はそれなりにいる印象もあります。結局物事は継続ですね(振り切れた体重計と自分の低いグレードから目を逸らしながら)。運動したらゼロカロリー理論は危険。

 

1巻はあいらのつぐへの愛で構成されました。

まだ好きとは認識していないようですが、既につぐラブなのを隠せていないのがたまらないですね。好きと認めた後の話もみたいですが、現状も至高なのでどの道読者の勝ちは揺るぎません。

なのことしゅう先輩のカップリングも気になるところです。3話冒頭でなのこがしゅう先輩を押し倒していたシーンや、4話のコンビニでの意味深な絡み。2人は付き合ってるのか・・・?そのあたりは2巻へ持ち越しですかね。

 

しかしみんたろう先生が書く女の子は魅力的ですね。

みんたろう先生の作品は初めてかと思っていましたが、調べてみるとレズ風俗アンソロジーリピートで拝見したことがある方でした。

さらに調べてみるとアイカツ本を書かれているようなので、ぜひそちらも可能であれば拝見しようと思います。(芸力いつか行ってみたいですね。)

 

 

*1:レッドポイント。所説ある気もするけど頑張れば登れる最高グレード

*2:何段の段。一般的なジムならここ登れないとドヤ顔できない気がする

*3:登り方のこと

私の百合はお仕事です!6巻までの考察

わたゆりこと、私の百合はお仕事です!6巻を読みました。

毎回引きが非常にうまいですが、今回は個人的に予想外でしたので、なぜあのラストになったのかを考察します。

 

考察なのでネタバレありですが、あらすじは書きませんので全巻読まれた方向けです。

読んで無い方はこんな落書きではなく本編を読んでください。この落書きの良さを10とすると、本編は100だ*1。すいません見栄張りました、実を言うと数字で表せない位の差があります。

 

概要

この記事では、わたゆり6巻までの描写を参考にして、陽芽は過去に父親に捨てられたという解釈を提案する。わたゆりの台詞を引用することで根拠を示し、最終的になぜ美月を拒絶したのかについて結論づける。

 

陽芽は好きを拒絶している・・・?

陽芽といえば、作中では誰からも愛されるために行動してきた子。

6巻でも、美月に好かれたいとしています。しかし、陽芽は恋愛感情として好きと言われた後挙動不審になりあのラストとなりました。なぜでしょう。

 

まず気になるのは、6巻30話にて陽芽が美月にキスされる場面。

陽芽がどういった反応を取るのか気になるところでしたが、その反応はニコと微笑む。これは「外面」でしょう。

29話でハグをされた際には紅潮していたため、ここで無表情になるのは気になるところです。

 

そして次の30話、ほぼ全編を通して美月に対して外面対応。

陽芽は好きを求めていたはずですが、友達としてではなく恋愛として好きと言われたことで、美月を拒否し始めています。

 

陽芽の恋愛について、果乃子からは4巻でこう述べられていました。

ひめちゃんはだれのことも好きにならない(私の百合はお仕事です!4巻p.32)

みんなから向けられる好意を全部静かに遠ざけるのを見てきました(私の百合はお仕事です!4巻p.92)

だから私は告白なんてしないし…!ずっと友だちのままで…今のまま何も変わらなくていいんです…!(私の百合はお仕事です!4巻p.93)

というか陽芽と美月と果乃子の三角関係たまらないですよね

果乃子は告白したら関係は壊れることを感じていました。そういった意味では、今回の陽芽の反応は自然なのかも知れません。

 

しかし気になるのが、反射的ともいえるあまりに過剰な拒絶です。

1つは6巻p.146で陽芽が御盆を落としているシーン。最初はドジっ子かと思いましたが、よく考えると美月に触れられたことで御盆を落としています。

2つ目は6巻p.152で手を繋ぐシーン。急に手を繋ごうとしたシーンですが、これは陽芽が美月に触れることに拒否反応を覚えていて、それを確認しようとしたシーンだと思います。

 

これは単に告白されたから避けたというよりも、陽芽にもっと深い問題があるのだと思います。

手を繋いでいるシーンでは、美月のことはまだ友達として大事にしているように見えます(6巻p152下のコマ)

 

陽芽の過去

ということで、陽芽には過去に何かあったと仮定して過去について考えていきます。

気になるのは、陽芽は誰からも愛されようとしていることですが、その明確な理由はまだ触れられていません。

伏線は過去の巻にあったのでまとめていきます。

可愛い私は可愛くしてれば好かれるっていう簡単なことにもう気づいていた(私の百合はお仕事です!2巻p.8)

可愛い子は可愛くしていないと嫌われちゃうものなんだよ (私の百合はお仕事です!6巻p.116)

陽芽は過去に可愛くなかったことで何かに失敗し、その後可愛く振舞おうとしていると考えられます。

 

他に気になるのが以下のシーンの美月の台詞。

陽芽ちゃんはそんなに嘘ついたりしてまで…誰に好かれようとしてるの(6巻p.117)

この台詞を言われたとき、陽芽の顔が一瞬固まっています(わたゆりでは核心を突かれた時にこの顔をしている時が多い気がします)。

陽芽は少し間があった後に恋愛の話だと気づいて普通に答えていますが、ということは最初はこの質問を恋愛だと思っていないのでは。

 

ここで陽芽の恋愛についての話に戻りますが、そもそもどの描写を見ても陽芽は恋愛に対して拒絶反応を取ると思わせるものはありません。陽芽にとって、恋愛はただ興味が無いだけでしょう。

 

陽芽はなぜ拒絶したのか

ということでまとめパートです。

  • 陽芽はなぜ誰からも愛されようとするのか?
  • 陽芽はなぜ金持ちになりたがっているのか?(愛より金の方が大事)
  • なぜ美月の好きを拒絶したのか?

6巻までの描写を参考にして解釈すると、陽芽の家庭環境に問題があったのだと予想します。

陽芽は可愛くない行動をしたことで、最終的に父親が家を出ていってしまった。そのためそれほど家は裕福ではなく(2巻の描写から推定)、愛より金の方が大事だと思うように。この解釈をした一番の決めては、やはり美月に「誰に好かれようとしてるの」と言われた時の表情です。誰か好かれたかった相手がいたのでしょう。

 

陽芽は父親に愛されていたが、何らかの原因で捨てられてしまった。それが愛に対するトラウマとして陽芽にあるのでは無いでしょうか。

だからこそ、陽芽は美月に愛されたことで、捨てられないように(美月の場合は失望されないように?)外面を使うしか無かった。陽芽は大事なものを守るために嘘をつく子なので、美月の気持ちにも答えようとしたのではないか。

 

そういう意味では、美月の好きは拒絶するつもりは無かったと考えています。

あの過剰な拒絶は陽芽自身も6巻30話で初めて気づいたのでしょう。そもそも美月自体が嫌ならば、30話の冒頭でバイトを続けないはずです。

 

まとめと今後の課題

ということで、最後は論理的に飛躍していましたが、現状では陽芽の過去について考察できる術が少ないのでそこは妄想で補完です。

 

ただ、上記の解釈では下記のシーンが説明できません。

うまくできてる?大丈夫?うまくクラスに打ち解ける・・・大丈夫できる(私の百合はお仕事です!2巻p.13

陽芽が転校した後の独白ですが、これは単純に解釈すると前の学校で何かあったのでしょう。

そもそもこの考察では1つの過去で全てを説明しようとしていますが、陽芽が好かれようとするのと、今回の拒絶は何ら関係にない可能性もあります。というか父親が出てきてないのを拡大解釈しすぎだろ・・・

 

今後の課題として、陽芽がなぜ友達として美月・果乃子を選んだのか。これについても解釈を見つけたいところです。

特に、陽芽が2人に対して思いをぶつけるシーンは、陽芽の過去の解釈にも重要なのではと思っています。

 

ともかく、今回は陽芽の過去についてだけでこれだけ考察出来ました。しかし、考察すべき要素はまだまだ多くあると考えています。

今回の考察を書くために何度もわたゆりを読みましたが(書かなくても何度でも読む)、何度読んでも面白いですし、読む度に発見がありました。

人それぞれに解釈があると思いますので、ぜひ皆さんも無限に読み直して感想・考察書きましょう。

あと未幡先生の短編も良き良きなので、万が一にも読まれて無ければぜひ読みましょう。ボーイッシュ最高。

 

関連研究

www.konjikiblog.com私より先に考察をされていた方です。同様の結論を出された先駆者の方です。

 

 

この記事論文風ならイントロでわたゆりの説明あるべきだよね

*1:分からない人は本編読んでね!